DICTIONARY
用語集
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筋委縮

筋委縮(きんいしゅく)とは、筋肉の大きさや質量が減少し、筋力が低下する状態を指します。筋肉が十分に使われない、または病気や栄養不良などが原因で、筋肉組織が萎縮してしまう現象です。筋委縮が進むと、筋肉の機能が衰え、日常的な動作や運動が困難になることがあります。

筋委縮の原因

筋委縮の主な原因は、次のようなものがあります。

不活動や運動不足

長期間にわたって体を動かさない、または筋肉を使わない場合、筋肉が萎縮します。たとえば、骨折後にギプスをつけた状態や、病気で長期間ベッドで寝たきりの状態が続くと、筋肉が使われないことで筋肉量が減少します。

神経損傷

神経原性筋委縮は、筋肉を動かす神経が損傷したり、機能しなくなることで起こる筋委縮の一種です。たとえば、脳卒中や脊髄損傷、パーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経系疾患が原因で筋肉が委縮します。神経筋肉に信号を送れなくなると、その筋肉が萎縮してしまいます。

加齢

加齢による筋肉量の減少(サルコペニア)は、年齢とともに筋肉量と筋力が自然に減少する現象です。高齢になるとホルモンの分泌が減少し、筋肉の修復や再生能力が低下するため、筋肉が次第に委縮していきます。

栄養不足

たんぱく質不足やビタミン、ミネラルの欠乏は、筋肉の成長や修復を阻害します。特に、体が必要とするエネルギーや栄養素が不足している場合、体は筋肉をエネルギー源として分解するため、筋委縮が進むことがあります。

病気や疾患

特定の病気や慢性疾患も筋委縮を引き起こす要因となります。たとえば、がんや糖尿病、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの病気は、全身の代謝に影響を与え、筋肉の委縮を引き起こすことがあります。

ホルモンの変化

テストステロンや成長ホルモンの不足は、筋肉の維持に悪影響を与え、筋委縮を引き起こすことがあります。特に男性の場合、加齢に伴ってテストステロンのレベルが低下するため、筋肉量が減少しやすくなります。

筋委縮の症状

筋委縮が進行すると、以下のような症状が現れることがあります。

筋力の低下

筋肉が萎縮することで、筋力が低下し、重いものを持ったり、立ち上がったりすることが難しくなります。

筋肉の見た目の変化

筋肉の体積が減少し、体が細くなる、または腕や脚がやせ細って見えることがあります。特に、体の左右で筋肉の大きさに違いが生じることもあります。

疲れやすさ

筋力が低下すると、日常的な動作(歩行や階段の上り下りなど)が疲れやすくなります。軽い運動でも早く疲れてしまうことがあります。

動作やバランスの不安定さ

筋肉の衰えにより、バランスを崩しやすくなったり、動作がぎこちなくなります。歩行時に転倒しやすくなることもあります。

筋委縮を防ぐ・改善するための対策

筋委縮を防ぐためには、適切な運動や栄養管理が重要です。以下に効果的な方法を紹介します。

筋力トレーニング

筋肉を使うことで筋肉量の減少を防ぐことができます。**抵抗運動(筋力トレーニング)**は、特に効果的であり、筋肉に負荷をかけることで、筋繊維を刺激して成長を促進します。軽いダンベルや自重を使ったトレーニングを定期的に行うことが推奨されます。

有酸素運動

ウォーキングやサイクリング、スイミングなどの有酸素運動も筋肉の維持に役立ちます。有酸素運動は全身の血流を改善し、筋肉に酸素と栄養を供給しやすくします。また、運動習慣をつけることで、全身の筋力維持や健康増進に繋がります。

バランスの取れた栄養摂取

筋肉の成長と修復には、たんぱく質が必要不可欠です。体重1kgあたり1.2〜2.0gのたんぱく質を摂取することが推奨されています。鶏肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを積極的に食事に取り入れるとよいでしょう。

ビタミンDやカルシウム、マグネシウムも筋肉の機能や健康に重要な役割を果たします。

定期的な活動

筋肉を使わないと筋委縮が進行するため、できるだけ体を動かすことが大切です。長時間の座りっぱなしや横たわった状態を避け、日常生活の中でこまめに体を動かす習慣をつけましょう。軽い家事や庭仕事、散歩なども筋肉の維持に効果的です。

適切な休息と睡眠

筋肉は休息時に成長と修復を行います。運動後の十分な休息や、質の良い睡眠(7〜8時間)を確保することで、筋肉の修復が促進され、筋委縮のリスクが軽減されます。

治療とリハビリテーション

神経損傷や病気が原因で筋委縮が進行している場合、医師の指導のもとでリハビリテーションを行うことが重要です。理学療法士と協力し、個々の状況に応じたエクササイズやストレッチを取り入れることで、筋力の回復を図ることができます。

筋委縮の治療とケア

筋委縮の治療は、原因に応じて異なります。たとえば、神経原性筋委縮の場合、神経の回復を促す治療が行われます。特定の病気や怪我が原因の場合、手術や薬物療法、理学療法が組み合わせて行われることもあります。

また、筋委縮の進行を遅らせるための物理療法やリハビリテーションも効果的です。専門の理学療法士による指導のもと、筋肉の維持と強化を目指すトレーニングが行われます。

まとめ

筋委縮は、筋肉の大きさや質量が減少し、筋力が低下する状態です。運動不足、神経損傷、加齢、栄養不足などが原因となることが多く、適切な対策を講じないと筋力の低下や日常生活に支障をきたすことがあります。筋委縮を防ぐためには、定期的な運動やバランスの取れた栄養、十分な休息が重要です。また、筋委縮が進行している場合は、医師や専門家の指導のもとでリハビリテーションを行うことを推奨します。